ローファイ日記

出てくるコード片、ぼくが書いたものは断りがない場合 MIT License としています http://udzura.mit-license.org/

mruby/edge バージョン 1.0.3 の話【募集あり】

mruby/edge バージョン 1.0.3 を出した。

これは mruby/edge バージョン 1.0.0 ではないのかという話だが、ちょっと前に 1.0.0 を出したのだが、その時点では Hash と Object#== がなかったりしたので後から追加していたらバージョンを上げることになったため。

続きを読む

Rust + WASM Component + mruby/edge (w/ WASI p2!) のバイナリを作る【令和最新版】

令和最新版、と一度言ってみたかった。

先日、手作りでWASM Componentのバイナリを作ってみたんですが、mruby/edgeは全部Rustで書いているので、では最近のRustではどうするといいかをしゅっと残しときます。

結論ファースト

zenn.dev

ここに書いてある通りです 〜完〜

が、世の中割とcargo-componentベースの手順が多かったりするので、少しでも新しい情報を多くしようかなと思って(あと自分の理解のため)ブログに残しておきます。

続きを読む

RubyスクリプトからComponent Model対応WASMバイナリを作った(実験的バージョン)

まずは実験的ツールの紹介

componentize_any というコマンドラインツールを作りました。Rubyで書いたので以下の方法でインストールしてください。

$ gem install componentize_any
## もしくは
$ git clone https://github.com/udzura/componentize_any.git && cd componentize_any
$ bundle install

以下のようなスクリプトを用意します。(wittyファイルとでも名付けました)

witty do
  world do
    export "wasi:cli/run@0.2.0"
  end

  package "wasi:cli@0.2.0" do
    interface "run" do
      define "run", :func, {[] => :result}, counterpart: "component_run"
    end
  end
end

以下のようなRubyRBSのファイルを用意し、 mec コマンドをインストールしていわゆる普通の(WASI p1依存なしの)WASMバイナリを用意。

# run.rb
def component_run
  0
end
# run.export.rbs
def component_run: () -> Integer
$ cargo install mec --version=1.0.0-rc3
$ mec --no-wasi run.rb
$ file run.wasm
run.wasm: WebAssembly (wasm) binary module version 0x1 (MVP)

mec とはRubyスクリプトをCore WASMのバイナリにコンパイルするコマンドです。以下の記事などで解説しています。

udzura.hatenablog.jp

これらが揃ったら componentize_any でComponentを作ることができます。

$ bundle exec componentize_any \     
      -witty-file witty.rb \
      --input run.wasm \
      --output out.wasm

Writing WAT to /var/folders/sv/...
Compiling WAT to WASM0: /var/folders/sv/...
joining WASM0 files with run.wasm
created out.wasm
run to check: `wasm-tools dump out.wasm 2>&1 | less`

ちゃんとWIT表現を取り出せることを確認。

$ wasm-tools component wit out.wasm
package root:component;

world root {
  export wasi:cli/run@0.2.0;
}
package wasi:cli@0.2.0 {
  interface run {
    run: func() -> result;
  }
}

このComponentは wasi:cli/run@0.2.0 を実装しているので、現在の wasmtime ならそのままファイルを渡して実行可能です。実行が(何も警告を吐かずに)成功することを確認します。

$ wasmtime out.wasm
$ echo $?          
0

この時、RubyスクリプトKernel#component_run1 を返すようにして再度この手順を踏めば、実行は正しく失敗します。

続きを読む

mruby/edge のVMを書き換えた

明けましておめでとうございます!

タイトルの通り。mruby/edge のVMを、mruby/c 1.2 相当の内容に書き換えた。

mruby/c 1.2 の実装は以前軽く読んだ。

udzura.hatenablog.jp

PRはめちゃでかい。 +2,605 −1,376 だそうです。

github.com

合わせてcrateをいくつかリリースした。

mruby/edgeとmecのcrateを更新した。以下でmecを更新してください。なぜかもう rc3 ですが、ええじゃないですか。

$ cargo install mec --version=1.0.0-rc3
$ mec --version                        
Version: 1.0.0-rc3
続きを読む

mruby/c 1.2 のコードを読んで理解するmruby VMの実装

mrubyファミリ (組み込み向け軽量Ruby) Advent Calendar 2024、23日目の記事です。メリークリスマス!

qiita.com

mrubyファミリAdvent Calendar、今年は1日目からyharaさんによる衝撃的な記事がありました。

yhara.jp

なぜ衝撃的だったかというと、僕も全く同じことをしてた(mrubyをRubyで実装しようとしていた)ので...。

で、その実装の下準備のために mruby/c 1.2 のコードリーディングをしていたわけです。今日はそのメモの内容を整理して、最低限のmruby VMの実装を理解する手助けとしようと思います。

ちなみに今回、以下はしません。

  • バイトコードのパース部分の読み込み
    • そもそもmruby 1と3でだいぶ違う点、あと基本的には仕様通りやるだけの実装なので省略
    • バイトコードフォーマットが気になる方は以下の記事を見てください:

udzura.hatenablog.jp

あと、筆者は言語実装の素人なのですが、しかし読みやすくするためにこの実装が何者なのかについて適当に言い切っちゃってる点もあります。ツッコミは優しく、事実確認は適宜ご自身でおなしゃす。

また、mruby/cがどのバージョンでどの使用をサポートしているかについての情報もアドベントカレンダーで公開されました。ぜひ併せてお読みください。この記事で色々な背景を残していただいているおかげで、筆者もコード上の不明点がいくつか明らかになり大変助かりました。

qiita.com

続きを読む