ローファイ日記

出てくるコード片、ぼくが書いたものは断りがない場合 MIT License としています http://udzura.mit-license.org/

Duolingoを使って半年程度で韓国語と中国語を一通り終えた話

僕の知人ならもはや誰もが知っていると思うけど、 Duolingo をず〜っとやっている。今年一番使ったウェブサービスでありアプリだと思う。

Duolingo についてちゃんと紹介しているブログもないので語ってみたい。

実績

多分5月頭ぐらいに韓国語を始めた。

8月なかばに英語話者向け韓国語を完了して中国語をそのまま始めた。

つい先日めでたく長〜い英語話者向け中国語コースを終えた。

リーグは現在エメラルドリーグにいる。フォローしてほしい。

www.duolingo.com

日本語話者が誤解しているアプリ、 Duolingo

まずはじめに、今のぼくはDuolingoを「英語学習」には使っていない。

多くの日本語話者がDuolingoをただの英語学習アプリだと思っているが、これは日本語話者向けのコースが2019年11月頭の現在で「英語」しかリリースされていないためだと思う。長い間日本語話者向け中国語もリリースされておらず、ベータの表示もなかった。

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ここでUI的な罠があり、コース追加で「More」的な選択肢を選ぶか、あるいはブラウザなら使用言語を切り替えないと「英語話者向け」その他に提供されているたくさんの諸外国の言語コースを見ることができない。なので気づいていない人が多いのではないだろうか。

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英語話者向けのコースに限っていうと、現在34コースが存在しており:

ヨーロッパ言語

なお、ロシア語、ウクライナ語もある。

アジアの言語

中東の言語

アフリカの言語

架空の言語

古語

などなど... 文字通り世界中をカバーした、あらゆる言語を手軽に学べる状態となっている。そのほとんどが、 音声付き で学習できるのも特徴。

言語により異なるDuolingoの機能実装

もう一つの誤解として、日本語話者向け英語コースは機能実装が 少ない 部類に入る。そのため単純な単語やペア当て、作文、聞き取りとスピーキング(これらの機能は基本的なものではあり、毎日これに触れられるということは重要なのだが)だけのアプリと思われているが、英語話者向けでユーザが多いものを中心に新機能が出されているようで、ここで日本語話者向け英語でリリースされていない機能を軽く紹介だけする。

Tips

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言語学習上、レッスンだけでは分かりにくいであろう要素(特に発音周り)をコラム的に紹介する。中国語のほか、ドイツ語、フランス語、スペイン語ポルトガル語、イタリア語あたりで実装済みの模様。

このブログを書いている途中で日本語話者向け英語コースでも「アドバイス」として実装されていた! 絶え間ない進化も Duolingo 。

Stories

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既存のレッスンでの弱点であった長文問題 with 読み上げのコース。ドイツ語、フランス語、スペイン語ポルトガル語のみと思われる。早く中国に来てほしい。

Podcast

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Podcastはフランス語とスペイン語のみ。スペイン語始めたばっかりなのでまだどんなのか聞いてない...。

Events

events.duolingo.com

言語学習者のためのオンラインイベントを公開できる。今検索したらTokyoというところでは英語とフランス語のイベントが定期開催されている模様。

などなど、言語学習のエコシステムを丸ごと作り出そうとする勢いがある。

ゼロイチに強い、「クッキーをたくさん作る」レッスン

ここまでDuolingoの機能を紹介したが、Duolingoの特徴はその 割り切り にある。

中国語を例にとると、競合するアプリの一つである Hello Chinese は、最初に中国語に存在するピンインと発音について一通り押さえるレッスンをやらせてくれる。

www.hellochinese.cc

この方法は体系的に中国語を学んで着実に進めていくにはいいかもしれない。次のレッスンでは解説されていない要素は出てこないだろうから。いっぽうで、そもそも、 ピンインを全部覚えないと次に進めないって大変じゃない? 離脱率は相当に高そうだ。

逆にDuolingoでは、「Greeting」「Food」「Restaurant」というテーマを決めたまとまり(スキルと呼ぶ)にし、 単独でも使える 表現を中心に学習させてくれる。このように文法要素ごとではなくトピックごとに分類している背景は、ABテストによる継続率などの計測があるとのこと。下記に詳しい。

www.famitsu.com

アジャイルの説明でよく「ショートケーキを作る」なんていうけれど、Duolingoは最初にスポンジの作り方、次にクリームの作り方の順で解説するんではなく、すぐに食べられるクッキーをまず作れるようにするという印象がある。

(余談だけど日本語話者向け英語はあまりトピックごとになっていない、「現在進行形」とか書いてるのだが、これもABテストの結果日本人はそういう堅い方が好きってことなんかな...)

とはいえ、それぞれのレッスンをレベル5まで学習しても、たとえば中国国内で就職できるようなレベルまで習熟できるようには思えない。その点ではHello Chineseを最後までやり切った方が到達できるレベルは高いと思う。また、それぞれのレッスンを進めていくと「説明なしにいきなり出てくる単語や文法要素」があったりする。そもそも多くの言語コースは初めにその言語の文字をさらうぐらいで、発音は「走りながら覚える」、とにかく最初はアプリから出る音声を真似する形で、Tipsで少しずつ解説されながら進んでいく。

しかしそれでもDuolingoは割り切って 「とにかくゲーム感覚で毎日触れられる」 ということにフォーカスしているし、個人的にも二言語を通してみて、言語学習のゼロイチの壁を破るにあたっては最適な方法論のように思った。

実際にやってみての感想

韓国語と中国語をやってみての率直な感想をとりとめもなく。

とにかく毎日触れるフォースが働くので便利

先に書いた通り、言語学習で何よりも大事なのは毎日触れることで、Duolingoはとにかく毎日触れるための仕掛けが散りばめられている。今日は先に進めようとか、今日は手堅くレベル2を進めようとか、ライフが減ったので復習をしようとか、とにかく「2〜3レッスン」を着実に1日にやるという発想に、自然となる。

2〜3レッスンをキープしていたら意外とリーグ(週単位でのレッスンでもらえるXPで競争し、上位者は次のリーグに進める仕掛け)が上の方になったり、微妙に転落しそうなので少し頑張って進めたり、など ソシャゲの手法 がこんなに語学に合うとは...。という感想。

無理やりでも使った方がいい

幸い、韓国語に関しては会社の同僚が、中国語に関してはTwitterでの友達が(?)いたので、彼らに質問ができるし、実際に作文して会話することもできた。自分で文章を作り出す経験がないと学習の深度が違うので重要だし、何より自分の手に入れたスキルを 実際に使える というのはこの上なく楽しい経験だ。Duolingoで手に入れたスキルは普通のソシャゲと違って、現実世界で使える。

しかし初学者丸出しの僕の韓国語・中国語にみんな付き合ってくれてありがたかった。多分、彼らは日本人が英語以外の言語を習得していることを期待していないので、珍しがってくれたんだろうな...。

日本語で学びたいこともある

これは韓国語だからなのはあるけれど、日本語と文法的に近い言語をわざわざ英語を通してやることのロスを感じることもあった。たとえば日本語の指示詞「こ・そ・あ」に完全に対応する表現が韓国語にはある(「이, 그, 저」)のに、英語を通すので「Here, There, Over there」になってしまい、イメージがずれそうな感じ。韓国語コースにはTipsが今の所ないため、実装されれば違ってくるだろうけど

あと、日本語ならそれぞれ「焼肉」「碁」「海苔巻き」で済むような単語「불고기」「바둑」「김밥」が、英語では一般的な概念でないため、音のまんま「Bulgogi」「Baduk」「Gimbab」で出てくる。なので「??」となる。

基本的にはある程度自分で調べるのを厭ってはいけない。ゲームしてても攻略Wiki見るし...。

発音は副読本があってもいいかも...

中国語という母音も子音も成長も全部難しい言語のコースには、その事実に合わせて発音問題があり、アプリに向かって発音をして正誤判定ができる。で、これが全然通らない...。

とはいえ声調はまだよくて、日本語はさいわい高低アクセントであるため、声調も「熟語レベルでの高低」に気を使えばそこまで習得困難ではないように思えた(これは素人意見です)。

一方中国語にはそり舌音という、他にロシア語ぐらいにしか存在しないような珍しい音がある上に、日本人には日本語の「シャ/ジャ/チャ」行に聞こえてしまうという罠があり、発音問題も ぜんっぜん通らない 。しかも文法的に極めて重要な漢字(是,这,上,...)に限ってこの音があるので、つらい...。 あと母音の「e」もいわゆる英語の曖昧な「e」に近くて日本人には難しい印象。基本的な漢字である「很」の発音はいまだに自信がないし...。

とはいえ後半にはそれなりに正答するようになったのだが、人間に対して通じるのかいまだに謎なので(Twitterの中国人の友達、今東京にいるらしい)、そこだけはうまくなんとかするといいと思う...頑張って。

発音の矯正は一般に難しいので心配になるかもしれないが、Duolingoの場合はネイティブの発音を 毎日「聞く」ことはできる ので、比較的後から矯正しやすいんじゃないかとは思う。

Duolingo Incubator

ここまで、Duolingoはやたらサポートされている言語が多いこと、にも関わらず日本語話者向けのコースが極めて少ない話をしてきたが、コースを充実させる仕組みとしてDuolingo Incubatorというものが存在する。

incubator.duolingo.com

これは、バイリンガルが自分が話せる2つの言語をつなぐコースの開設を提案し、実際にコース作りに協力することができる仕組みだ。OSS活動みたいな感じ。期待している方が多そうな英語話者向けフィンランド語をはじめ、様々なコースが実際に開発中のようで、実際にベータリリースまでこぎつけた言語もたくさんある。

ここには今のところ「日本語話者向け〜」のコースが中国語しかないため、それこそ日本語話者向け韓国語など提案が待たれているのだろう。

incubator.duolingo.com

その日本語話者向け中国語コース、何回も延期されていたが、 今月30日リリース予定 らしい。さすがに進捗を見ているとそれなりの確度の情報だと思う。ただ、はじめはベータで、問題数やクオリティなどは発展途上であることを鑑みて是非挑戦してほしい。

なにより

Duolingo はサービスのその端々で、心から「語学を楽しくすることは世界をよくする」と考え、多様な世界を後押ししていることが感じられる。そこが一番魅力的だ。

言語の壁というものは人類に最後まで残る壁だと思う。

それぞれの言語は尊重され、多様であるのが望ましいし、自分の第一言語を尊重して使う権利は基本的人権に属するレベルのものだと思う。とはいえ言語が違うとコミュニケーションができないため、最大公約数的に英語を学習している面がどうしてもある。

英語を正しく使えるようになる意義に異論はないが、それぞれの人がそれぞれの言葉を持っているので、私は私が親しくなりたい人が普段英語でない言語でモノを考えているんであったら、その人の言葉を知りたいと思う。

Duolingoは「そもそも言葉を学ぶことは楽しい」というメッセージで、その壁を壊そうとしている。これはとんでもなくイノベーティブだなと素直に思って、共感して使っているのかもしれない。


ということで取り止めのない内容だけど、Duolingoというサービスを知ってもらえたら嬉しいかもしれない。

この手の記事にありがちな招待リンクを最後に貼っておきます。

invite.duolingo.com

ここ経由で登録するとぼくもPlusの機能が使えるらしい。