過去の記事のサルベージです。たまに自分で探すので回収しておきました。
2017年に行ってきたことを振り返ってみると。
コミュニティ
吹雪の中福岡を発って名古屋Ruby会議03で発表した。前年から引き続きHaconiwaと、コンテナが描く世界を考え続ける過程になった Haconiwaで福岡Ruby大賞を得た。その時のプレゼン資料はその時点での考えのdumpとして未だによく参照するので便利だった RailsGirls Kitakyushuのコーチ コンテナ型仮想化の情報交換会に帰って、頑張って一時間喋った YAPC Fukuokaで小飼弾さんの洗礼を受けた。今思うとその後の場で「きさん…」ってちゃんと言うべきだったか。 デブサミ福岡でも少しだけ話した 日本OSS推進フォーラムさんにありがたくも招待された Rails DMでリモート講演した
その他地方での試合中心に何本か。 Speakerdeckを眺めると コンテナ関連の発表を今年 12本 行ったようだ。月刊コンテナ太郎だ。RubyKaigi 2017では結局喋れなかったが、福岡を飛び出してとにかく絞り出すようにアウトプットを続けていた。
一つのテーマでここまで徹底的にアウトプットするのは振り返るととても良いことのように思う。自分自身ではワンパターンに陥っているのでは?? と恐れることもあったが、通して眺めてみると一定の進化というか、ちゃんと議論が深まっている側面も読み取れるのでこういうことはやるべきだなあと思った。
Linuxコンテナというものが、ここまでいろいろな思惑の飛び交う分野になってくるとは、Haconiwaを思いついた時にはあまり考えていなかったりもしたのだけれど、まあHaconiwaのおかげで普通にコンテナを使っている人よりは若干(ほんの若干ね?)視野角広く界隈を眺めることができて、面白い時代に関われているなあと思うことはある。Haconiwaがこうなったのも、同僚を始め様々なツッコミをくれた皆さんのおかげである。
あとは、コミュニティ関係では何より福岡Ruby会議02をやっていったが、昨日話した通り。
お仕事
お仕事ではやはり、先日β版となったロリポップ!マネージドクラウドにがっぷり四つで取り組んだことを挙げなければなるまい。
このサービスは、去年縁あって関わったSqaleで感じた様々な思いを乗っけることができたり、自作の技術がなぜかコアコンピンタンス風なところとして新しいサービスに組み込まれるのを体験したり、メンバーにやたら優秀な若手が多くひたすら刺激を受けたり、いろいろ思うところが多い。いやしくも10年近く自作サービスの開発や運用に関わらせてもらっているが、その中でも初めての経験ばかりとなるサービスであったし、これからもまだまだそうであるような予感がしている。
何より、 @matsumotory との粘り強い仕事の成果でもあるので、非常にエモい。
来年以降ももっとやばい感じにするべく関わっていくし、やばい感じにしていかねばとも思う。
もう一つ印象に残ったのは、9月に福岡支社で初めて実施したインターンで、先日ブログを書いてくださったちくわさんを始め優秀な学生さんと関われたし、インターンで知り合ったzuminさんに福岡Ruby会議02でボランティアスタッフをしてくださった学生さんを紹介してもらうなど、面白いつながりができるきっかけとなってよかった。
2017年がどういう年であったか
2015年末に僕は所属企業のエンジニア職位制度の、昇格プロセスに落ちた。そして、翌年から @matsumotory がぼく達の上の職位に就くことになった。
その翌年、Haconiwaのコアアイデアを思いつき、その勢いでRubyKaigiにスピーカーデビューを果たした。
Haconiwaのアイデアを最初に社のSlackで話した時、 @matsumotory に、「で、どういうところが新しいの? どうしてこのソフトウェアを作って、どういう風に育てたいの? 既存のコンテナとどう使い分ける、あるいはどう勝っていくの?」と質問されたのを、同じく同僚であるmonochromeganeさんの振り返りを読んで思い出した。
僕はその時まで、オープンソースソフトウェア - OSSは好きであったけれど、なんとなく盆栽の自慢的な、自分のアイデアを形にしてクールなハックをしたと、悦に入るためであるような側面を、重視してしまっていたような気がしている。なのでこの質問には正直面食らったのであった。
OSSを武器にして、育て上げて未知の未解決の問題に取り組んでいくこと(それが新規性だ)。そういう発想を持っていなかったのである。それから、 @matsumotory の胸を借りるように、たくさんの議論、指摘、ツッコミ、時には叱咤激励を受け、Haconiwaのアイデアを練り上げ、FastContainerの発想にほんの少しだけ貢献し、それらを実現して大きな問題を解決するにはどうすればいいか考え、考え抜くということを繰り返してきた。
そういう中で、なんとなくわかってきたことは、自分は今までそれなりに満足して、会社や界隈のそれなりのレベルを保ちながら楽しくコードを書き、アウトプットをしてきた、そういうのを続けていたように思えてきて、で、それは本当に良かったのかなあということだ。それで、 ちゃんと自分で自分を、自分の人生の主人公にできていたか? と思った。
@matsumotory は間違い無く、自分で自分の人生の主人公を生きている。少なくとも彼が世界で為すべき仕事のために、全力投球をして、そういう物語を生き抜く覚悟を背負っている。2年と少し、ここまで近い距離で一緒に仕事をしてきて、見えたことである。
また、 WSA研の開催概要 を眺めて、自分には、このレベルまで自分のエンジニアとしての人生を掛けて取り組むべきテーマがあるのだろうか、もしここでLinuxコンテナの話をしてちゃんとcompetitiveに議論をすることができるのだろうか? と思ったりもした。
僕はどうしてソフトウェアを書いてものづくりをしているのかというと、自分にはものづくりでしかこの世の中にコミットができないんじゃないかと思っているからだ。けれど、それはわかった、で、「世の中へのコミット」はいいけれど、自分としては何をコミットしたいの? そういうことを考えるようになった。
2017年は、それまでの2年間と比べて、自分が主人公としてコマ割りされているかな? と思う瞬間が多めであったように思う(なお、これは少し自画自賛を含んでいる)。主人公になるには、主人公に戻ってくるにはどうすればいいか来年も考え抜きたい。
おまけ
読み返してみると、ほとんど松本さんへのラブレターになっていてあまりにも恥ずかしいじゃないか!!!!1
2017年に食べた福岡飯振り返りでこの記事を締めさせていただきます。